2012年05月24日

夏の訪れを実感させた「句会」

                NPO法人近畿フォーラム主催
                   蕪村顕彰俳句大学 事務局
 

  5月23日(水)に開講した山尾玉藻講師の「句会」は、夏の季題を中心に受講生の皆さんから沢山の作品が出句されました。その場で、受講生がお互いに「選句」したあと、山尾講師が優秀句を選んで「短評」されました。
 その中から「優秀作品の寸評」を、山尾講師に直に綴って頂きましたので、どうか読みください。「俳句」に秘められた作者の思いと言葉の意味の深さが、分かるような気がします。


 本日の兼題は「初夏」「夏始」「立夏」「夏兆す」でした。
作品から受講生が思い思いの視点で夏の訪れを実感している様子が窺えました。中でも、「初夏」の初の語には季節の到来を心待ちにする日本人ならではの心情が託されるべきです。松尾芭蕉は句会中に初雪が降り出したので慌てて自分の庵へ帰ってしまったそうです。芭蕉にとっては草庵で迎えてこそ初雪だったのですね。このように初の付く句には作者の待ちに待ったという心おどりと充足が感じられなければなりません。
 また、「夏兆す」「夏来たる」「夏に入る」はやや感覚的、主観的な季語と言えるでしょう。ですから読み手が瞬時に夏の気配を共感出来得る内容でなければならないでしょう。  (山尾玉藻)


 「第5期5月 山尾玉藻講座」秀句短評

  初夏の空へ放らるチアガール        西畑敦子
<チアガール達は女性とは思えぬ逞しさを感じさせます。殊に数人の腕にのった一人が腕の力で宙に放り上げられトンボを切る技には全く瞠目します。女性が宙高く舞った姿は実に眩しくパワフルで、「初夏」の季語を納得させます。>
  初夏の水平に過ぐ孔雀の尾        松井倫子
<孔雀が美しい羽根を全開にした景はよく詠まれますが、この句は尾に焦点を絞りなかなかユニークです。水平に張った立派な尾から張り詰めた力が感じられ、それが「初夏」の思いを呼んだのです。>
  たぎつ湯に鰹節放ち夏来たる       山田美恵子
<湯が煮え滾る鍋に手に一杯握られた鰹節が放り込まれ、ぶわぁと鰹節が広がりはげしく踊り出します。その勢いに一瞬作者は夏の到来を覚えたのです。ビジュアル効果満点。厨俳句畏るべし、ですね。>
  初夏の天満切子に酒みたし        永島文夫
<天満切子の盃にお酒が満たされてゆく景は夏そのもので、所謂即(つ)き過ぎの句と言えるでしょう。しかし掲句は「初夏」です。作者はお酒を注ぐ前に盃を手にとり、存分にその涼やかな色合いや手触りを楽しんだものと思われます。「天満切子」のひびきも好もしいですね。>
  静脈を叩いてさがす夏始          大山文子
<静脈注射や採血でよく見かける景ですが、作者はそこに敢えて「夏始」を感じたのです。更衣で腕がむき出しだから、なんて理屈で解釈してないで下さい。まだ日焼を知らぬ白い腕、腕を縛るゴム紐の音、静脈を叩く指の感触、等々全てが夏の兆しを語る詩因となったのです。>
  豆腐屋の喇叭大路へ夏始         東 和子
<豆腐屋は路地に来て喇叭を鳴らするものとするのは余りにも常識的です。掲句の豆腐屋は逆に路地から大路へ出て改めて勢いよく喇叭を吹いたのです。喇叭の音が広やかな路にひびき渡り、さあ夏の到来です。>
  つま立ちて子の遠目する夏始       池尻 申
<初夏ともなれば日射しも風も透明感をおび、遠くのものまで見通しが効く感じです。この子供もつま立ちながら一心に遠くに眼を遣っています。子供の愛らしい裸足の足裏も見えるようですね。子供の日常から初夏らしい光景を掬い取りました。>
  回廊にとほく潮目や夏始          蘭定かず子
<一読、安芸の厳島神宮を思い浮かべました。この作者も回廊から遠くを眺めていて、くっきりとした潮目に夏の始まりを実感しています。品位のある一句です。>

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posted by 蕪村顕彰俳句大学事務局 at 14:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ご案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月18日

新しい試み 諸外国からの作品投句

                NPO法人近畿フォーラム主催
                   蕪村顕彰俳句大学 事務局
 

  第5期5月講座の「蕪村顕彰俳句大学・句会」も、講座日程の半分が終了しました。
   ・5月10日の「立村霜衣教室」
   ・5月14日の「朝妻力教室」
 共に大いに盛り上がりました。その日に行われた立村、朝妻両講師の「俳句の勉強会」も、俳句つくりに必須となる用語の使い方について質疑応答を交えた貴重な講義がありました。中々難しい内容の講義でしたが、受講生の輝いた目には、感動させられました。
 5月講座は、5月23日(水)午後1時から「山尾玉藻教室」、5月26日(土)午前10時から、小中高国語担当教諭講座 「戸栗末廣教室」を開講いたします。
 
 

  さて、当講座「蕪村顕彰俳句大学」では、4年後に迫った蕪村生誕300年記念事業の1つとして、俳句に馴染んでおられる欧州を中心にした諸外国と、俳句文化交流を新しく進めることに致しました。

 つまり、俳句(日本人の価値観、繊細なことば使い方)を通じて、海外との“こころ”のコミュニュケーションを実施し、海外との気持ちを通わせた未来へ向かう大切な“つながり”をベースにした国際文化振興が目的です。
 具体的には、この国際文化交流を通じて、
   @ “大阪から俳句を通じてアジアへ、世界へ
   A “海外の大学やアジア、欧米の人材・俳句愛好会との交流
   B “俳人蕪村が大阪毛馬生誕地であること世界へ広める
   C “海外との“こころ”のコミュニケーション
 の活動を行うことが、主な趣旨なのです。

 既に、この趣旨に賛同して頂いている数か国の俳句愛好家から、是非参加したいとのご回答を得ております。
 蕪村顕彰俳句大学では、この交流を発展させて、諸外国から作品出句をお願いしようと考えております。この新しい試みによって、日本俳句文化を諸外国に広め、特に大阪生誕与謝蕪村の俳句を世界の人々に知ってもらえれば、これに勝る喜びはありません。
 ご報告まで。 
posted by 蕪村顕彰俳句大学事務局 at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 国際交流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする